情報をこまめにチェックしましょう
創業時の資金調達方法その① 公的融資では、創業時の資金調達方法として、借入、特に創業時に有利な条件で借り入れることができる公的融資の制度について解説しました。
今回の記事では、創業時に受けられる「創業・第二創業促進補助金」について要点をまとめます。
創業・第二創業促進補助金
創業・第二創業促進補助金は、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する補助金です。注意点としては、産業競争力強化法に基づく認定市区町村での創業のみを対象としており、全国すべての地域での創業に対応しているわけではないという点です。詳細は各自治体にお問い合わせください。また、通年募集を行っているわけではなく、申請期間が決まっていますので、早めの情報チェックが必要です(※平成27年度は終了しております。なお、平成27年度は1,170件の応募があり採択は775件、採択率67.3%でした)。
この補助金の目的は以下の通りです。
「創業・第二創業促進事業」は、新たに創業する者や第二創業を行う者に対して、その創業等に要する経費の一部を助成(以下「補助」という。)する事業で新たな需要や雇用の創出等を促し、我が国経済を活性化させることを目的とします。
この補助金の補助率(実費に対する補助割合)は2/3であり、金額は100万円以上200万円以内となっています。
この補助金を申請するにあたっては、認定支援機関のサポートを受けて事業計画を策定する必要があるので留意が必要です。すなわち、事業者のみで完結できず、必ず認定機関との連携が求められているのです。作成する事業計画はわりと細かく、平成27年度の様式では以下の項目が求められています。
- ①事業の具体的な内容
- ②本事業の動機・きっかけ及び将来の展望
- ③本事業の知識、経験、人脈、熱意
- ④本事業全体に係る資金計画
- ⑤事業スケジュール
- ⑥売上・利益等の計画
無事に採択されてもそれで終わりではなく、補助金受領後の事業状況をモニタリングし、報告する必要があります。書類の数も多いので、それなりの作業時間を取られることは覚悟しないといけません。
メリットとデメリット
メリットはなんといっても、返済が不要だということです。最大7,200万円まで借り入れることができる創業融資に比較すると金額は小さいですが、返済しなくてもよいという心理的負担感のなさは、資金繰りの目途が立ちにくい創業時には大きなメリットとなります。
一方、デメリットはその煩雑さにあります。申請に認定機関からのサポートが不可欠な点、申請時のみならず、受託後も継続的な報告が必要な点など、かなりの手間がかかります。規模の急拡大を狙わないスモール・ビジネスにとっては、手間を厭わずに創業時の資金メリットを享受するほうがよいかもしれませんが、創業時からスピード勝負をかけるようなスタート・アップ企業にとっては、この手間のデメリットのほうが大きいかもしれません。
まとめ
創業・第二創業促進補助金について簡単にまとめました。創業時に資金はあるに越したことはありません。また、「返さなくていい」という魅力が大きいことは事実です。一方で、本業以外の部分に労力が割かれるデメリットについても、よくよく考えてから申請する必要があることに留意しましょう。経営者にとっては文字通り、「Time is Money」です。