生活口座と区分したほうが何かと便利です
法人であれば法人名義の口座を作れますが、個人事業主(フリーランス)の場合は「屋号付口座」というものが該当します。
これは、口座名が「屋号(事業名)+個人名」となる口座です。かつては個人事業主であっても屋号のみの口座が作れたようですが、現在ではメガバンクでは屋号のうしろに本名も記載する必要があります。
この屋号付口座の開設方法ですが、銀行によって異同はあるものの、大まかな流れは同じです。具体的に見ていきましょう。
口座の開設方法
通常の個人口座が郵送やインターネットで申し込みができるのと異なり、必ず最寄りの銀行窓口で手続する必要があります。銀行の窓口って閉まるの早いですよね。うまく時間を工面して、窓口まで行きましょう。1時間程度は見ておいたほうがよいです。
それからもうひとつ、個人事業主として実在していることを証明する書類が必要です。必要な書類は銀行ごとに異なります。各銀行ごとに必要書類は以下のとおりです。
三菱東京UFJ銀行
参考 口座開設時の本人確認書類
- 国税または地方税の領収書または納税証明書(原本)
- 社会保険料の領収書(原本)
- 商業登記簿謄本(原本)
- 事務所の賃貸契約書(コピー可)
- 公共料金の領収書(原本)
- 税務署収受印付の確定申告書(原本)
- など
開業したてで、上記の書類があるケースはほとんどないと思います。
だからといって焦る必要はありません。などに注目です。ここに列挙されたものでなくても、事業の実在性を示すことができれば問題ないです。
具体的には以下のようなものが使えます。
- 開業届の控え
- 屋号宛の郵便物
- 屋号付の名刺
- 屋号付のウェブサイト
これらの書類のうちどこまでが使えるかは明確に決まっているわけではなく、なんとなく各支店の運用ルールに任されている感じです。
堂々と、”キチンと感”を出していくことがポイントかと思います。
その場で手続が進み、通帳をもらえます。キャッシュ・カードは後日郵送です。
みずほ銀行
みずほ銀行の場合、必要な書類はウェブ上では明示されていませんが、開業届の控えと名刺で大丈夫です。
UFJと異なるのは、初回の来店時には審査のみで、開設は後日(おおむね一週間後)になる点です。
審査時のヒアリングは事業内容や口座開設の目的など、わりとしっかり聞かれるので、アタフタしないようにちゃんと準備していきましょう。
なお注意として、みずほ銀行は営業性個人口座という個人口座と同様の扱いになります。つまり、すでにみずほ銀行に個人口座を持っている場合は、原則的に屋号付で開設できませんので、注意してください。
三井住友銀行
当銀行は、特に屋号付口座開設のための情報を公開していません。
必要書類としては、開業届の控えと名刺で大丈夫です。
口座の扱いは、みずほ銀行と同じく営業性個人口座のため、すでに個人口座を持っている場合に二重で開けない点は、みずほ銀行と同様です。
手続はUFJ同様、その場で通帳が発行され、後日キャッシュ・カードが郵送されます。
りそな銀行
参考 りそなビジネスダイレクト
りそな銀行の場合は、りそなビジネスダイレクトの口座の扱いになります。口座の利用にあたっては月額手数料がかかります。
必要な書類はこちらも明示されていませんが、開業届の控えと名刺で大丈夫です。
りそなはメガバンクの中ではもっとも開設手続きがスムーズな傾向があるようで、30分かからずに通帳発行になるようです。
屋号付口座のメリット
さて、簡単に開設方法を見てきましたが、屋号付口座を持つことのメリットについても説明します。
ひとつめのメリットは、確定申告の手間が少なくなる点です。私用の口座と併用している場合、生活費と必要経費の混同が起こりがちです。事業にかかわる入出金はすべて屋号付口座で管理することで、申告時の混乱が防止できます。
特に最近のクラウド会計ソフトは銀行口座と連動して自動で仕訳を起票してくれるので、屋号付口座と連動させておくと大変に便利です。複雑な取引がない事業では、ほとんど経理の手間がかかりません。
ふたつめのメリットは、社会通念上、信用力が増すということです。特に大きな会社は、個人相手に取引をするのを嫌がる傾向にあります。そこで少なくとも屋号付の口座があることで一定程度の信頼は担保される(銀行の審査を通っているので、反社会的勢力に関わりがないことも間接的に証明できる)わけです。
そういう意味で、スタートしたての事業主ほど、早めに屋号付口座を作ってしまったほうがよいと考えます。
まとめ
屋号付口座についてまとめました。
いちばん手続に厳しいのが三菱東京UFJ銀行です。ここをクリアできれば、あとは二重口座の問題にさえ引っかからなければどこでも作れると考えてよいでしょう。
何度も出直すのはもったいないので、事前に書類と心の準備をしてから、銀行に出かけましょう。