会社以外での起業という選択肢。一般社団法人とNPOについて。 data-rellax-speed=

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会社以外での起業という選択肢。一般社団法人とNPOについて。

事業内容によって選ぶ

株式会社?合同会社?起業に際して会社形態を選ぶポイントという記事では、起業にあたって株式会社と合同会社、どちらを選ぶべきかについてポイントをまとめました。

しかしながら、事業内容によっては、会社以外の形態をとったほうが、ふさわしいケースがあります。今回は、会社以外の法人形態としてよく用いられる一般社団法人とNPOについてポイントを解説します。

一般社団法人

そもそも一般社団法人とはなんでしょうか?

一般社団法人とは,「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号)」に基づいて設立された社団法人のことをいいます。一般社団法人は,設立の登記をすることによって成立する法人via 一般社団法人及び一般財団法人制度Q&A

のことを指します。これだけではよくわからないですね。

上記のとおり「設立の登記をすることによって成立する」という点が最大のポイントです。言い換えれば、登記のみで成立し、所轄官庁等の許認可や届け出が不要なことから、後述のNPO法人に比べて設立が容易な法人形態と言えます。

一般社団法人は2名以上の社員により設立が可能となるため、後述のNPO法人よりもはるかに小規模に設立することが可能ですが、一方で1名で設立可能な株式会社や合同会社に比べれば人数が必要となる点には留意してください。

一般社団法人のメリット

一般社団法人のメリットは主に2点です。

1点目は、繰り返しになりますが、小規模で容易に設立でき、株式会社に比べて設立費用が抑えられる点です。設立手続きや設立までの期間(2週間程度)は会社と変わらないのですが、設立時費用が株式会社のおおむね半分で済みます。

2点目は、一定の要件を満たせば、非営利型の法人として収益事業にのみ法人税が課税されるようになるという税務上のメリットです。公益認定を受けていない一般社団法人が非営利型法人と認定されるには、①非営利性が徹底された法人の要件を満たすか、②共益的活動を目的とする法人の要件を満たす必要があります。

①非営利性が徹底された法人の要件は以下の通りです。

  1. 1.剰余金の分配を行わないことを定款に定めていること。
  2. 2.解散したときは、残余財産を国・地方公共団体や一定の公益的な団体に贈与することを定款に定めていること。
  3. 3.上記1及び2の定款の定めに違反する行為(上記1、2及び下記4の要件に該当していた期間において、特定の個人又は団体に特別の利益を与えることを含みます。)を行うことを決定し、又は行ったことがないこと。
  4. 4.各理事について、理事とその理事の親族等である理事の合計数が、理事の総数の3分の 1 以下であること。

②共益的活動を目的とする法人の要件は以下の通りです。

  1. 1.会員に共通する利益を図る活動を行うことを目的としていること。
  2. 2.定款等に会費の定めがあること。
  3. 3.主たる事業として収益事業を行っていないこと。
  4. 4.定款に特定の個人又は団体に剰余金の分配を行うことを定めていないこと。
  5. 5.解散したときにその残余財産を特定の個人又は団体に帰属させることを定款に定めていないこと。
  6. 6.上記1から5まで及び下記7の要件に該当していた期間において、特定の個人又は団体に特別の利益を与えることを決定し、又は与えたことがないこと。
  7. 7.各理事について、理事とその理事の親族等である理事の合計数が、理事の総数の3分の 1 以下であること。

NPO法人

NPO法人は正式には特定非営利活動法人という名称です。

NPO法人は特定非営利活動促進法に基づいて法人格を付与された法人です。この法律は

特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること等により、 ボランティア活動をはじめとする市民の自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進することを目的 via 内閣府NPOホームページ

としています。

NPOという形態は近年広く認知され、上述の一般社団法人に比べて同じ非営利活動を行っていても、信頼が得やすいというメリットがあります。

しかしながら、設立には所轄官庁の認証を受けて登記申請する必要があり、設立までおおむね4ヶ月~半年程度の期間が必要なことがデメリットです。また、1名以上で設立できる会社、2名以上で設立できる一般社団法人と異なり、理事3名以上、監事1名が最低限必要とされ、さらには社員が10名以上求められており、人員確保の負担が重くなっています。

設立段階では無理やり人数をかき集めたとしても、その後いわゆる幽霊社員となって、社員総会が有効に開催できないなどの問題が生じるケースもあるようです。

NPO法人のメリット

上記のように設立及び運営維持のハードルが高い反面、大きな税務メリットがあります。収益事業を行っている場合には収益事業にのみ課税され、収益事業を行っていない場合は法人税の申告が不要です。法人住民税の均等割という、法人であれば赤字であっても納付しなければならない税金も、収益事業を行わないNPO法人であれば減免される自治体が多く、この点がほかの法人形態と大きく異なる点です。

また、一定の要件を満たして所轄官庁より認定NPO法人となることで、当該NPO法人に寄付を行う個人や法人に対して寄附金控除等の税務メリットが付与されます。これにより、寄附による運営資金の調達が容易になります。

なお、認定NPO法人となるための要件は以下の通りです。

  1. 1.パブリック・サポート・テスト(PST)に適合すること(仮認定は除きます。)
  2. 2.事業活動において、共益的な活動の占める割合が、50%未満であること
  3. 3.運営組織及び経理が適切であること
  4. 4.事業活動の内容が適切であること
  5. 5.情報公開を適切に行っていること
  6. 6.事業報告書等を所轄庁に提出していること
  7. 7.法令違反、不正の行為、公益に反する事実がないこと
  8. 8.設立の日から1年を超える期間が経過していること

まとめ

一般社団法人及びNPO法人について、簡単にまとめました。非営利型の事業をメインに起業する場合には、選択肢として挙がってきます。また、一般社団法人については、必ずしも非営利を目的とするものではなく、営利事業のための法人として活用しているケースもあります。

特にNPO法人については事業運営と経理処理の適切性が強く求められることから、管理業務の能力を有するスタッフの配置や適宜適切な専門家の利用が必要となります。

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