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平成27年税制改正と税効果会計への影響

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財務省の解説が出ました

今更感が否めない話題ですが、財務省による分厚い解説(1,000ページ!を超えます)が出たことでもあるので、あらためてピンポイントに解説します。

参考 財務省 平成27年度税制改正の解説

だいたい税制改正が行われると税効果会計への影響で実務的に迷うことが多いと思いますので、表題のとおり、その点についてのピンポイントで取り上げます。

税率の引き下げ

この改正により、段階的に税率が引き下げられます。

改正前 平成27年度 平成28年度~
法人税率 25.5% 23.9% 23.9%
法人事業税(所得割) 7.2% 6.0% 4.8%
法人実効税率 34.62% 32.11% 31.33%

繰延税金資産・負債はその解消年度の税率により計上されるため、スケジューリングに応じて適用する税率が異なってきます。具体的には平成28年度に解消される一時差異は32.11%、平成28年度以降に解消される一時差異は31.33%を適用して繰延税金資産を計上します。

監査委員会報告66号「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」における、いわゆるタイプ分類1に該当する会社の場合、スケジューリング不能差異も含めて全額回収可能性があるものとして繰延税金資産を計上しているケースが多いかと思います。この場合に適用する税率は、もっとも遅い期の税率を用いるのが適当と考えられます。

参考条文 改正前「税効果会計に関するQ&A」Q14

スケジューリングを行った結果、スケジューリングが不能な一時差異については、当該一時差
異等が復興特別法人税課税期間に解消するとはいえないため、復興特別法人税の課税を含まない
税率に基づき、繰延税金資産及び繰延税金負債の算定を行うことになります。

このQ14そのものは、復興税自体が前倒しで廃止されたため、2015年5月のQ&Aの改正により削除されています。もっとも、このQ14の趣旨は、復興税の取扱いを定めるというよりは、一般的に税率が段階的に変わる場合の取り扱いとして読むのが適当と考えられるので、復興税に限らず、税制改正により税率が変更される場合にはこれに準じて処理を行えばよいものと考えます。

税率の変更により繰延税金資産及び負債の金額に変更が生じた場合には、税率差異の注記にも影響しますので、合わせて留意が必要です。

欠損金の繰越控除の見直し

この改正により、欠損金の繰越控除のルールが変更になっています。具体的には以下の通りです。

改正前 H27/4/1~ H29/4/1~
控除限度(大法人) 80% 65% 50%
期限 9年 9年 10年

繰延税金資産は、将来の税額を減額させる範囲でしか計上できないため、この改正により繰延税金資産の計上可能額が減ります。従来、欠損が100生じた場合には、

(借方)繰延税金資産80/(貸方)法人税等調整額80

という仕訳を切っていたわけですが、平成27年4月1日以降事業年度からは65、平成29年4月1日以降事業年度からは50とそれぞれ減額されるわけです。損益計算書上、利益がダイレクトに減るので、この影響はかなり大きいのではないでしょうか。

 欠損金の繰越控除制度が課税ベースを大きく侵食している状況を改善するとともに、控除制限を受けたくない企業には収益改善のインセンティブをもたらすよう、大法人の控除限度(改正前:所得の80%)を引き下げます。

財務省のパンフレットには、さらっとこんなふうに書いてありますが、例えば費用先行型のビジネスモデルの会社はその事業立ち上げ期において財務諸表が傷んでしまいます。開発型のベンチャーなどは、スタート段階において多額の赤字を計上し、開発完了後に一気に回収するというモデルなので、引用した「控除制限を受けたくない企業には収益改善のインセンティブをもたらす」なんてこととは無関係です。ビジネスモデルによって収益の立ち上がり方は当然異なるので、一律にこのような控除限度を設けるのは、企業の投資意欲を削ぐことにつながるのではないかとの危惧もあります。

補足 委員会報告66号の改正について

これは直接、税制改正に関係あるものではないですが、税効果会計への影響という意味で、上で触れた委員会報告66号の改正についても軽く触れます。

より正確には、従来委員会報告66号で取り扱っていた内容を、会計基準の適用指針に移管すべく企業会計基準適用指針公開草案第54号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(案)」が公開されている段階です。

この公開草案の内容で、従来からの特に大きな変更ポイントは3点あります。以下、簡単に概要だけ説明します。

タイプ2におけるスケジューリング不能差異

従来、スケジューリング不能差異はタイプ1においては繰延税金資産を計上できた一方、タイプ2においては一律回収可能性がないものとして取り扱われていました。今回の草案によると、一定の要件(税務上の損金算入時期が個別に特定できないが将来のいずれかの時点で損金算入される可能性が高いと見込まれるものについて、当該将来のいずれかの時点で回収できることを合理的に説明できる場合)を満たす場合には回収可能性があるものと判断します。(21項)

タイプ3におけるスケジューリングの期間

従来、タイプ3においてはスケジューリング期間は「おおむね5年」とされており、実務上、これを限度として取り扱われてきました。今回の草案によると、一定の要件(臨時的な原因により生じたものを除いた課税所得が大きく増減している原因、中長期計画、過去における中長期計画の達成状況、過去(3 年)及び当期の課税所得の推移等を勘案して、5 年を超える見積可能期間においてスケジューリングされた一時差異等に係る繰延税金資産が回収可能であることを合理的に説明できる場合)を満たす場合には5年を超えて回収可能性があるものと判断します。(24項)

タイプ4の例外規定

従来、タイプ4でも一定の要件を満たす場合はタイプ3として取り扱われる、いわゆるタイプ4但し書き規定がありました。今回の草案によると、一定の要件(重要な税務上の欠損金が生じた原因、中長期計画、過去における中長期計画の達成状況、過去(3 年)及び当期の課税所得又は税務上の欠損金の推移等を勘案して、将来の一時差異等加減算前課税所得を見積る場合、将来において5年超にわたり一時差異等加減算前課税所得が安定的に生じることが合理的に説明できるとき)を満たす場合はタイプ2に該当することが明記されました。なお、タイプ3として取り扱う従来と同様の規定も生きています。(28項、29項)

すなわち、タイプ4であっても、一定の要件を満たせばタイプ2または3として扱われるということになります。

以上を総合すると、従来の委員会報告66号に比較して、実質判断を重視するとともに、実質が伴えば繰延税金資産の計上が認められやすくなる方向への改正と言えます。

まとめ

平成27年税制改正と税効果会計への影響について改めて簡単にまとめてみました。

こうやって書くだけなら簡単なんですが、いざ実際の会計処理になるとけっこう悩むポイントが多いと思います。解釈の違い、判断の違いによって大きく会計数値が変わってくる領域でもありますので、早め、早めに専門家や担当の監査人へ相談し、サプライズがないようにしておくのが実務的には重要ですね。

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