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  • 財務省ウェブサイトに「平成28年度税制改正の解説」が掲載

    約1,000ページの解説です

    財務省のウェブサイトに平成28年度税制改正についての解説が掲載されました。

    参考 平成28年度税制改正の解説

    改正全体の解説から始まり、各税目ごとに主税局担当者による解説が記載されています。

    全体では1,000ページ近くに及びますが、「概要」と「詳解」に分かれているので、「概要」部分のみでもざっと目を通しておくとよいです。

    なお、法人税法における重要な改正点は以下です。

    法人税率の引下げ

     普通法人、一般社団法人等及び人格のない社団等に適用される法人税率が、23.9%から23.2%(平成28年 4 月 1 日から平成30年 3 月31日までの間に開始する事業年度については、23.4%)に引き下げられました。

    建物等の定率法の廃止

    平成28年 4 月 1 日以後に取得をされた建物附属設備及び構築物について選定できる償却の方法が、定額法のみとされました。

    この改正に従って減価償却方法を変更する場合は会計方針の変更として所定の注記が必要となりますので、特に上場会社では留意が必要です。

    役員報酬の見直し

     届出が不要となる事前確定届出給与の対象となる給与に、役員の職務につき、その職務の執行の開始の日から 1 月を経過する日までにされる株主総会等の決議によりその決議の日から 1 月を経過する日までにその役員に生ずる債権の額に相当する特定譲渡制限付株式を交付する旨の定めをした場合におけるその定めに基づいて交付される特定譲渡制限付株式による給与及びその特定譲渡制限付株式に係る承継譲渡制限付株式による給与が追加されました。

    これはいわゆるリストリステッド・ストックによる役員報酬が届出不要で損金算入される制度です。日本における役員報酬は金銭による固定報酬が一般的であったところ、欧米で一般的な業績連動型の報酬や株式報酬を導入し、役員に対して会社の業績向上へのインセンティブを強くするためのものです。

    リストリステッド・ストックについては経済産業省より手引きが出されています。

    「攻めの経営」を促す役員報酬~新たな株式報酬(いわゆる「リストリクテッド・ストック」)の導入等の手引~(PDF)

    まとめ

    平成28年度税制改正の解説についての記事でした。専門家のみならず、経理担当者は一通り確認しておくことをお勧めします。

  • 平成27年税制改正と税効果会計への影響

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    財務省の解説が出ました

    今更感が否めない話題ですが、財務省による分厚い解説(1,000ページ!を超えます)が出たことでもあるので、あらためてピンポイントに解説します。

    参考 財務省 平成27年度税制改正の解説

    だいたい税制改正が行われると税効果会計への影響で実務的に迷うことが多いと思いますので、表題のとおり、その点についてのピンポイントで取り上げます。

    税率の引き下げ

    この改正により、段階的に税率が引き下げられます。

    改正前 平成27年度 平成28年度~
    法人税率 25.5% 23.9% 23.9%
    法人事業税(所得割) 7.2% 6.0% 4.8%
    法人実効税率 34.62% 32.11% 31.33%

    繰延税金資産・負債はその解消年度の税率により計上されるため、スケジューリングに応じて適用する税率が異なってきます。具体的には平成28年度に解消される一時差異は32.11%、平成28年度以降に解消される一時差異は31.33%を適用して繰延税金資産を計上します。

    監査委員会報告66号「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」における、いわゆるタイプ分類1に該当する会社の場合、スケジューリング不能差異も含めて全額回収可能性があるものとして繰延税金資産を計上しているケースが多いかと思います。この場合に適用する税率は、もっとも遅い期の税率を用いるのが適当と考えられます。

    参考条文 改正前「税効果会計に関するQ&A」Q14

    スケジューリングを行った結果、スケジューリングが不能な一時差異については、当該一時差
    異等が復興特別法人税課税期間に解消するとはいえないため、復興特別法人税の課税を含まない
    税率に基づき、繰延税金資産及び繰延税金負債の算定を行うことになります。

    このQ14そのものは、復興税自体が前倒しで廃止されたため、2015年5月のQ&Aの改正により削除されています。もっとも、このQ14の趣旨は、復興税の取扱いを定めるというよりは、一般的に税率が段階的に変わる場合の取り扱いとして読むのが適当と考えられるので、復興税に限らず、税制改正により税率が変更される場合にはこれに準じて処理を行えばよいものと考えます。

    税率の変更により繰延税金資産及び負債の金額に変更が生じた場合には、税率差異の注記にも影響しますので、合わせて留意が必要です。

    欠損金の繰越控除の見直し

    この改正により、欠損金の繰越控除のルールが変更になっています。具体的には以下の通りです。

    改正前 H27/4/1~ H29/4/1~
    控除限度(大法人) 80% 65% 50%
    期限 9年 9年 10年

    繰延税金資産は、将来の税額を減額させる範囲でしか計上できないため、この改正により繰延税金資産の計上可能額が減ります。従来、欠損が100生じた場合には、

    (借方)繰延税金資産80/(貸方)法人税等調整額80

    という仕訳を切っていたわけですが、平成27年4月1日以降事業年度からは65、平成29年4月1日以降事業年度からは50とそれぞれ減額されるわけです。損益計算書上、利益がダイレクトに減るので、この影響はかなり大きいのではないでしょうか。

     欠損金の繰越控除制度が課税ベースを大きく侵食している状況を改善するとともに、控除制限を受けたくない企業には収益改善のインセンティブをもたらすよう、大法人の控除限度(改正前:所得の80%)を引き下げます。

    財務省のパンフレットには、さらっとこんなふうに書いてありますが、例えば費用先行型のビジネスモデルの会社はその事業立ち上げ期において財務諸表が傷んでしまいます。開発型のベンチャーなどは、スタート段階において多額の赤字を計上し、開発完了後に一気に回収するというモデルなので、引用した「控除制限を受けたくない企業には収益改善のインセンティブをもたらす」なんてこととは無関係です。ビジネスモデルによって収益の立ち上がり方は当然異なるので、一律にこのような控除限度を設けるのは、企業の投資意欲を削ぐことにつながるのではないかとの危惧もあります。

    補足 委員会報告66号の改正について

    これは直接、税制改正に関係あるものではないですが、税効果会計への影響という意味で、上で触れた委員会報告66号の改正についても軽く触れます。

    より正確には、従来委員会報告66号で取り扱っていた内容を、会計基準の適用指針に移管すべく企業会計基準適用指針公開草案第54号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(案)」が公開されている段階です。

    この公開草案の内容で、従来からの特に大きな変更ポイントは3点あります。以下、簡単に概要だけ説明します。

    タイプ2におけるスケジューリング不能差異

    従来、スケジューリング不能差異はタイプ1においては繰延税金資産を計上できた一方、タイプ2においては一律回収可能性がないものとして取り扱われていました。今回の草案によると、一定の要件(税務上の損金算入時期が個別に特定できないが将来のいずれかの時点で損金算入される可能性が高いと見込まれるものについて、当該将来のいずれかの時点で回収できることを合理的に説明できる場合)を満たす場合には回収可能性があるものと判断します。(21項)

    タイプ3におけるスケジューリングの期間

    従来、タイプ3においてはスケジューリング期間は「おおむね5年」とされており、実務上、これを限度として取り扱われてきました。今回の草案によると、一定の要件(臨時的な原因により生じたものを除いた課税所得が大きく増減している原因、中長期計画、過去における中長期計画の達成状況、過去(3 年)及び当期の課税所得の推移等を勘案して、5 年を超える見積可能期間においてスケジューリングされた一時差異等に係る繰延税金資産が回収可能であることを合理的に説明できる場合)を満たす場合には5年を超えて回収可能性があるものと判断します。(24項)

    タイプ4の例外規定

    従来、タイプ4でも一定の要件を満たす場合はタイプ3として取り扱われる、いわゆるタイプ4但し書き規定がありました。今回の草案によると、一定の要件(重要な税務上の欠損金が生じた原因、中長期計画、過去における中長期計画の達成状況、過去(3 年)及び当期の課税所得又は税務上の欠損金の推移等を勘案して、将来の一時差異等加減算前課税所得を見積る場合、将来において5年超にわたり一時差異等加減算前課税所得が安定的に生じることが合理的に説明できるとき)を満たす場合はタイプ2に該当することが明記されました。なお、タイプ3として取り扱う従来と同様の規定も生きています。(28項、29項)

    すなわち、タイプ4であっても、一定の要件を満たせばタイプ2または3として扱われるということになります。

    以上を総合すると、従来の委員会報告66号に比較して、実質判断を重視するとともに、実質が伴えば繰延税金資産の計上が認められやすくなる方向への改正と言えます。

    まとめ

    平成27年税制改正と税効果会計への影響について改めて簡単にまとめてみました。

    こうやって書くだけなら簡単なんですが、いざ実際の会計処理になるとけっこう悩むポイントが多いと思います。解釈の違い、判断の違いによって大きく会計数値が変わってくる領域でもありますので、早め、早めに専門家や担当の監査人へ相談し、サプライズがないようにしておくのが実務的には重要ですね。

  • 青色申告のメリットと必要な経理処理

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    クラウド・サービスで簡単に

    とっても簡単、個人事業主の開業手続で、青色申告を行うための手続を記載しました。

    今回は、青色申告の制度についてもう少し詳しく、そのメリットと申告のために必要な経理処理について解説します。

    青色申告のメリット

    青色申告は、きちんとした経理処理を行うことで、税務上のメリットを受けられる制度です。具体的な優遇制度は以下の通りです。

    1. ①青色申告特別控除
    2. ②青色事業専従者給与
    3. ③貸倒引当金
    4. ④純損失の繰越控除

    では、それぞれ詳しく見ていきましょう。

    ①青色申告特別控除

    青色申告特別控除は、正規の簿記の原則に従って経理処理を行った場合(後述)には最大65万円、簡易的な経理処理を行った場合は10万円の所得控除を受けられる制度です。

    所得控除とは、本来の所得金額から控除分だけ差し引いてくれる、という意味です。ざっくり言うと税金の金額は所得に税率を乗じて計算されるので、控除の金額が大きければそれだけ節税効果が高くなります。例えば所得330万~695万であれば税率が20%なので(注:記事執筆時点。所得税の税率参照。)、おおざっぱな計算では65万円の控除を受ければ65万円*20%=13万円の節税効果がありますが、10万円では10万円*20%=2万円の節税効果にしかなりません。

    この差は大きいので、せっかく青色申告制度を利用するのであれば、正規の簿記の原則による経理処理を行い節税効果を高めるべきです。

    ②青色事業専従者給与

    これは簡単に言えば、家族に給料を支払った場合に一定の範囲で必要経費にすることができる、という制度です。

    家族が個人事業主の仕事を手伝っていて、その対価として給料を支払っていても、原則的には必要経費にはなりません。これを無制限に認めてしまうと、家族内で所得が移転しているだけなのに、税金の支払金額を意図的に下げることができてしまうからです。

    この制度を利用するためには、青色申告の届出に加えて、「青色事業専従者給与に関する届出書」という書類を所轄税務署に提出し、承認を受ける必要があります。この書類は税務署で手に入るほか、国税庁ウェブサイト(PDF注意)からダウンロードできます。

    必要経費として認められるのは、この書類に記載した金額の範囲内で支払われたもので、かつ、その勤務時間や勤務内容、他の従業員の給与状況、事業の損益状況等に照らして妥当と認められるものに限られます。

    なお、事業の損益状況によって、家族を扶養に入れたほうが有利な場合と青色事業専従者給与の制度を使って必要経費としたほうが有利な場合がありますので、個々の状況にあわせての判断が必要です。

    ③貸倒引当金

    貸倒引当金とは、事業で発生した売掛金などの債権の回収が不可能と見込まれる場合に、あらかじめその回収不能分を損失として見込み計上するものです。

    貸倒引当金は、個別に引き当てるものと、一括して引き当てるものに分かれます。個別というのは、例えばA社に対する売掛金が回収できないだろうと個別具体的に予測する場合に、その売掛金を損失処理するケースです。一括して引き当てるのは、個別具体的な相手ではなく、債権全体に対して一定の割合を乗じて回収不能額を見込むものです。

    この引当金は、損失が確定しているわけではなく、あくまで見積の段階です。青色申告を行っていれば見積の段階で必要経費になる=節税効果がある、というところがポイントです。

    ④純損失の繰越控除

    これは事業に赤字が出てしまった場合、その赤字額を翌年以降の所得から控除できる制度です。

    例えば1年目が100万円の赤字、2年目が50万円の黒字(課税所得の意味です)、3年目が100万円の黒字だったとします。この制度を利用できない場合は、1年目は赤字で税金の支払はなく、2年目は50万円に税金がかかり、3年目は100万円に税金がかかります。

    一方、繰越控除を適用すると、1年目の赤字を翌年以降に持ち越すことができます。したがって、2年目は50万円の黒字に1年目の赤字をぶつけて所得0、3年目は2年目でも控除しきれなかった50万円の赤字を相殺して、50万円の所得に対して税金がかかることになります。

    特に事業のスタート段階では大きな赤字額が出ることも珍しくないため、この制度の恩恵は大きいと言えます。

    必要な経理処理

    上記で、青色申告のためには正規の簿記の原則による経理処理が必要と説明しました。ではこの正規の簿記の原則とはどういうものか。字面はずいぶんとっつきにくい印象ですが、慣れてしまえばそれほど大変なことはありません。

    要するに、複式簿記を用いて、貸借対照表と損益計算書を作ればよいのです。

    この記事は簿記の仕組の解説が趣旨ではないのでさらっと書きますが、複式簿記とは、ある取引を2つの要素に分解して記録する記帳方法です。逆に言えば、1つの要素で記帳する方法が単式簿記ということになります。

    例えばある商品を100円で売って、1ヶ月後に入金がある、というケース。複式簿記を使うと売上の時点で(借方)売掛金100円/(貸方)売上100円というふうに記録します。この借方、貸方というのが2つの要素です。この要素は、原因と結果、と考えればしっくりくるかもしれません。日常語で書けば、(貸方)売上100円という原因があり、結果として(借方)売掛金という入金を受ける権利=債権を得た、という意味になります。

    このように、借方、貸方の2つの要素で取引を記録した結果出来上がるのが、貸借対照表と損益計算書です。ごく簡単に言えば、貸借対照表は、ある一時点の事業の資産や負債の状況を示す書類(=ストック情報)であり、損益計算書はある一定期間の収益と費用の動きを示す書類(=フロー情報)です。

    さらっと、と言いながらかえって難しい印象を与えてしまったかもしれません。実際、かつては正規の簿記の原則による記帳を行うには、相当程度の知識の習得が不可欠でした。でも今は、会計処理を手伝ってくれるサービスがたくさんあるので、正確な知識がなくてもある程度は記帳ができるようになっています。

    特に、ソフトウェアのインストールが不要なクラウド・サービスが増えてきました。代表的な例として、freeeMFクラウド会計弥生の青色申告オンラインがあります。

    それぞれのサービス毎の癖というか特徴があって、単純にどれがベストとは言えません。事業のスタイルや会計、税務に関する知識の程度によって使うべきサービスが異なってきます。サービス毎の特徴についてはまた項を改めて解説していきたいと思います。

    なお、経理処理に加えて、青色申告を適用する場合は帳簿類の保存期間も白色申告とは異なるので留意が必要です。青色申告の場合、「帳簿」「決算関係書類」「現金預金取引等に関係する書類」(請求書、領収書、通帳など)は7年、その他の書類(納品書、請求書控、契約書など)は5年の保存が求められます。

    まとめ

    青色申告のメリットと必要な経理処理について説明しました。

    最初はとっつきにくい制度かもしれませんが、クラウド・サービスの普及により、格段に簡単に経理処理ができるようになっています。これまで青色申告を行っていなかった方も、税務メリットがとりやすくなっているので、ぜひトライしてみてください。

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