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  • 不適切な会計処理?粉飾?用語の意味を改めて確認

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    実は明確な定義はない

    連日の東芝関連の報道で、すっかりメジャーになった「不適切な会計処理」という表現。一方、なぜ「粉飾」という言葉を使わないのか、という疑問ないし批判の声もあがっています。

    事の本質まで追いかけると収拾がつかないので、ここではシンプルに用語の意味の再確認をしたいと思います。

    厳密な専門用語の使い方

    実は「不適切な会計処理」も「粉飾」もいずれも厳密な意味での専門用語ではありません。ニュース等でよく使われる言葉ですが、その定義は曖昧です。

    たとえばWikipediaで「粉飾」はこのように説明されています。

    粉飾(ふんしょく)とは、業績悪化などの企業や経営陣にとって都合の悪い情報をおおい隠すため、データを改竄(かいざん)したりして、見かけ上問題ないように装う(ドレッシングする)ことを表す経営・会計用語。 via 粉飾-Wikipedia

    経営・会計用語とありますが、あくまで俗称であり、厳密な意味での専門用語ではありません。専門的には、「財務諸表の虚偽表示」という概念が用いられます。「財務諸表の虚偽表示」とは、その名のとおり、企業の作成する財務諸表に虚偽(誤り)が含まれていることを指します。そして、虚偽表示には2つの原因があるとされます。

    財務諸表の虚偽表示は、不正又は誤謬から生ずる。不正と誤謬は、財務諸表の虚偽表示の原因となる行為が、意図的であるか否かにより区別する。 via 「監査基準委員会報告書240」

    また、不正は以下のように定義されます。

    「不正」-不当又は違法な利益を得るために他者を欺く行為を伴う、経営者、取締役等、監査役等、従業員又は第三者による意図的な行為をいう。 via 「監査基準委員会報告書240」

    簡単に言うと、財務諸表に虚偽(誤り)が生じる原因は、意図的(わざと)か誤謬(ミス)による、そして意図的なものを不正という、ということです。俗に、不正による(意図的な)虚偽表示(誤り)を「粉飾」と呼び、誤謬(ミス)による誤りを「不適切な会計処理」と呼ぶ、と整理されるといえます。

    では東芝はどちらか?

    東芝の一連の虚偽表示に関する第三者委員会報告書が出されています。

    参考 第三者委員会報告書要約版(PDF注意)

    参考 第三者委員会報告書全文版(PDF注意)

    全文版は300ページを超える大作です。

    さて、この報告書では(詳細は割愛しますが)今回の虚偽表示について経営者が意図的に行ったものであることが報告される一方で、「不適切な会計処理」という用語が用いられています。これは端的に言って、上で書いた説明と矛盾してしまいます。意図的である=不正=粉飾、意図的でない=誤謬(ミス)=「不適切な会計処理」というのが通常の整理だからです。

    この点、「東洋経済ONLINE」に第三者委員会の記者会見のダイジェスト記事があり、以下のような説明がされています。

    今回の調査では、個別に見ると「不正」といえなくないものもあったが、担当者が会計知識を間違えていたり、(損失を)先送りすることはさほど違法なことだと思っていなかったり、特に半導体の在庫評価みたいに自分たちの主観で判断したりといった、違法の認識がないものも多い。

    昨今、「不適切会計」というのが実務でよく使われているし、会社から依頼されたときも「不適切会計」という言葉だった。言葉を統一するという意味でも、大きな言葉として「不適切」という表現とした。via 「第三者委員会が指摘した東芝の”病根”とは?」

    ここでは「違法の認識がない」といったように、適法か否か、という点に焦点が当てられています。

    しかし、もういちど厳密な定義に戻ってみましょう。不正は不当又は違法な利益を得るためにという定義がなされており、必ずしも違法性に限定されているわけではありません。前半の「不当又は」の部分を考慮していないかのような考え方に見えてしまいます。

    まとめ

    東芝の虚偽表示をめぐる報道で使われる「不適切な会計処理」と「粉飾」についての考え方を簡単にまとめました。

    いずれの言葉遣いが理に適っているかは読者の判断に委ねますが、ここで言いたかったのは、専門用語というのは厳密に定義がなされるものなので、その使い方を誤ると印象操作になりかねないので気を付けましょう、ということです。

    今回の件に限らず、「あれ?」と思ったことについては原点に立ち返って考えるのが大切ですね。

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