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個人事業主の法人化(法人成り)はここに注意!

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方法によっては法務・税務リスクがあります

事業をスタートするにあたって、個人事業主(フリーランス)として始める場合と、最初から会社形態で起業する場合があります。最初から会社であれば今回の記事で説明することは問題になりません。

一方、個人事業主として始めたビジネスをもっと積極的に拡大したい、将来的に上場を目指したい、節税対策をしたいなどの理由から事業を法人化して行うケース、いわゆる法人成りに際しては、いくつかの留意点があります。

今回はその中でも特に注意が必要な部分について解説します。

個人事業の引継方法を選ぶ

個人事業を新規に設立した法人に引き継ぐ場合、大きく4つの選択肢があります。

  • ✅現物出資
  • ✅売却
  • ✅贈与
  • ✅賃貸

それぞれの方法にメリット・デメリットがあるので、各自の状況によって使い分けることを検討しましょう。

✅現物出資

株式会社を設立するにあたっては、最初に発起人が資本金を払い込み、株式を引き受けます。これを出資と呼びます。出資については現金だけではなく、現金以外の財産をもって行うことができます。現金以外の財産を対価として株式を引き受けることを現物出資と呼びます。

現物出資の対象となる財産は多岐にわたります。貸借対照表に計上可能なものと考えればよく、有価証券等の金融商品、土地建物等の不動産、ソフトウェアや知的財産権等の無形資産などが代表的なものです。反対に、信用や労務など、貸借対照表に計上できないものは対象とはなりません。

現物出資を行うには、会社法上、一定の手続が求められています。財産価値のない現物が出資され、資本金を過大に見せると債権者を害することになるため、会社に一定の弁済能力を担保するために規制が置かれています。具体的には以下のとおりです。

  • ☑定款への記載…金銭以外の財産を出資する者の氏名又は名称、当該財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数を定款に記載する必要があります(法28条)。
  • ☑検査役の検査…原則として裁判所が選任した検査役の検査が必要です(法33条)。

このうち、検査役の検査については、以下の条件を満たす場合は免除されます(法33条)。

  • ☑財産の価額が500万円以下の場合
  • ☑市場価格のある有価証券を市場価格以下で出資する場合
  • ☑弁護士・公認会計士・税理士から価額の相当性について証明を受けた場合

さて、この現物出資を行う最大のメリットは、会社の設立に際して新たに多額の現金を用意する必要がないことです。これまでの個人事業で用いてきた資産を資本金に充当できるため、手許現金が少なくても一定規模の資本金を確保できます。

反面、デメリットとしては上記の規制に対応しなければならない事務手続き上の煩雑性があります。特に出資財産が500万円を超える場合は、検査役の検査にしても弁護士・公認会計士・税理士の証明にしても、一定の期間と費用を要します。また、現物出資は会社法上は資本取引なのですが、税法上は資産の譲渡とみなされて個人に所得税がかかるケースがあります。この点、会社の設立自体には現金が不要であっても、この納税資金だけは確保しておく必要がありますので留意してください。

参考 タックスアンサー No.3117 不動産を法人に現物出資したとき

✅売却

売却は、通常の商取引であり、設立後の会社に対して個人事業主が事業用資産を売却することにより事業資産を引き継ぎます。この取引が会社法上、「事後設立」に該当する場合は、株主総会の特別決議が要求されているので、留意が必要です(法309条)。

事後設立とは、会社の設立後2年以内に、その成立前から存在した財産を継続して使用する目的で、純資産の1/5を超える価額で取得する契約を締結することを言います(法467条)。これは上記で説明した現物出資の規制をすり抜けることを防止する目的の規制です。

売却による場合のメリットは、現物出資に比較して相対的に規制が緩いことです。仮に事後設立に該当した場合であっても、株主総会決議で足りるため、検査役の検査や弁護士・公認会計士・税理士の証明に比較して相対的に期間・費用も抑えられます。

デメリットとしては、設立時に売却金額に相当する現金を用意して会社に出資しておかなければいけない点が挙げられます。資金面に余裕がある場合にはもっともシンプルなこの方法がよいですが、資金不足の場合はなんらかの方法で資金調達が必要になります。なお、売却元の個人事業主に対しては当然、譲渡所得がかかってきますが、売却資金でキャッシュが入ってくるため、納税資金の問題は生じないと考えられます。

✅贈与

贈与は、設立後の会社に対して無償で事業用の財産を与える行為です。会社法上は、特段の規制はありません。

贈与のメリットとしては、手続に規制がなく煩雑性がない点、売却と異なり会社側に資金が不要な点が挙げられます。

一方、贈与は贈与時の時価で財産が移転したとみなされるため、財産の帳簿価額と時価に大幅な乖離が生じている場合には多額の納税資金が必要となるケースがあります。贈与を用いて事業資産を引き継ぐ場合にはこの点をケアしておく必要があります。

✅賃貸

賃貸は、事業用資産を個人事業主に帰属させたまま、法人に使用させる方法です。賃貸なので、厳密には事業資産を会社に引き継がせるわけではないですが、法人化したあとも事業を継続させることができる手段として、記載しました。

賃貸であれば、賃貸にかかる賃借料のみを支払えばよいため、イニシャルにまとまった資金が不要です。適切な賃借料を支払っていれば大きな税務リスクもないため、納税資金についても悩みは少ない手段と言えます。

一方で、会社の事業資産が会社に帰属していないという、事業基盤が不安定な状態と外部からはみなされるリスクが高いです。特に、上場を目指すようなケースでは、会社と取締役(元・個人事業主が会社設立後取締役として就任するケースが大半だと思われます)のあいだの取引となり、真っ先に解消が求められると考えられます。したがって、当初から株式公開を目指すようなスタート・アップ企業にとっては、とりえない選択肢と言えます。一方、上場なんて無関係なスモール・ビジネスの法人化であれば、検討に値する選択肢でしょう。

まとめ

個人事業主が法人成りするときの留意点、特に、事業引き継ぎの留意点をまとめました。それぞれのメリット・デメリットを十分に考慮して、方法を選択してください。

なお、個人的には資金が十分にある場合は売却を、資金面に不安がある場合は現物出資がよいのではないかと考えます(あくまで一般論であり、ケース・バイ・ケースではありますが)。

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