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  • 会社以外での起業という選択肢。一般社団法人とNPOについて。

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    事業内容によって選ぶ

    株式会社?合同会社?起業に際して会社形態を選ぶポイントという記事では、起業にあたって株式会社と合同会社、どちらを選ぶべきかについてポイントをまとめました。

    しかしながら、事業内容によっては、会社以外の形態をとったほうが、ふさわしいケースがあります。今回は、会社以外の法人形態としてよく用いられる一般社団法人とNPOについてポイントを解説します。

    一般社団法人

    そもそも一般社団法人とはなんでしょうか?

    一般社団法人とは,「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号)」に基づいて設立された社団法人のことをいいます。一般社団法人は,設立の登記をすることによって成立する法人via 一般社団法人及び一般財団法人制度Q&A

    のことを指します。これだけではよくわからないですね。

    上記のとおり「設立の登記をすることによって成立する」という点が最大のポイントです。言い換えれば、登記のみで成立し、所轄官庁等の許認可や届け出が不要なことから、後述のNPO法人に比べて設立が容易な法人形態と言えます。

    一般社団法人は2名以上の社員により設立が可能となるため、後述のNPO法人よりもはるかに小規模に設立することが可能ですが、一方で1名で設立可能な株式会社や合同会社に比べれば人数が必要となる点には留意してください。

    一般社団法人のメリット

    一般社団法人のメリットは主に2点です。

    1点目は、繰り返しになりますが、小規模で容易に設立でき、株式会社に比べて設立費用が抑えられる点です。設立手続きや設立までの期間(2週間程度)は会社と変わらないのですが、設立時費用が株式会社のおおむね半分で済みます。

    2点目は、一定の要件を満たせば、非営利型の法人として収益事業にのみ法人税が課税されるようになるという税務上のメリットです。公益認定を受けていない一般社団法人が非営利型法人と認定されるには、①非営利性が徹底された法人の要件を満たすか、②共益的活動を目的とする法人の要件を満たす必要があります。

    ①非営利性が徹底された法人の要件は以下の通りです。

    1. 1.剰余金の分配を行わないことを定款に定めていること。
    2. 2.解散したときは、残余財産を国・地方公共団体や一定の公益的な団体に贈与することを定款に定めていること。
    3. 3.上記1及び2の定款の定めに違反する行為(上記1、2及び下記4の要件に該当していた期間において、特定の個人又は団体に特別の利益を与えることを含みます。)を行うことを決定し、又は行ったことがないこと。
    4. 4.各理事について、理事とその理事の親族等である理事の合計数が、理事の総数の3分の 1 以下であること。

    ②共益的活動を目的とする法人の要件は以下の通りです。

    1. 1.会員に共通する利益を図る活動を行うことを目的としていること。
    2. 2.定款等に会費の定めがあること。
    3. 3.主たる事業として収益事業を行っていないこと。
    4. 4.定款に特定の個人又は団体に剰余金の分配を行うことを定めていないこと。
    5. 5.解散したときにその残余財産を特定の個人又は団体に帰属させることを定款に定めていないこと。
    6. 6.上記1から5まで及び下記7の要件に該当していた期間において、特定の個人又は団体に特別の利益を与えることを決定し、又は与えたことがないこと。
    7. 7.各理事について、理事とその理事の親族等である理事の合計数が、理事の総数の3分の 1 以下であること。

    NPO法人

    NPO法人は正式には特定非営利活動法人という名称です。

    NPO法人は特定非営利活動促進法に基づいて法人格を付与された法人です。この法律は

    特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること等により、 ボランティア活動をはじめとする市民の自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進することを目的 via 内閣府NPOホームページ

    としています。

    NPOという形態は近年広く認知され、上述の一般社団法人に比べて同じ非営利活動を行っていても、信頼が得やすいというメリットがあります。

    しかしながら、設立には所轄官庁の認証を受けて登記申請する必要があり、設立までおおむね4ヶ月~半年程度の期間が必要なことがデメリットです。また、1名以上で設立できる会社、2名以上で設立できる一般社団法人と異なり、理事3名以上、監事1名が最低限必要とされ、さらには社員が10名以上求められており、人員確保の負担が重くなっています。

    設立段階では無理やり人数をかき集めたとしても、その後いわゆる幽霊社員となって、社員総会が有効に開催できないなどの問題が生じるケースもあるようです。

    NPO法人のメリット

    上記のように設立及び運営維持のハードルが高い反面、大きな税務メリットがあります。収益事業を行っている場合には収益事業にのみ課税され、収益事業を行っていない場合は法人税の申告が不要です。法人住民税の均等割という、法人であれば赤字であっても納付しなければならない税金も、収益事業を行わないNPO法人であれば減免される自治体が多く、この点がほかの法人形態と大きく異なる点です。

    また、一定の要件を満たして所轄官庁より認定NPO法人となることで、当該NPO法人に寄付を行う個人や法人に対して寄附金控除等の税務メリットが付与されます。これにより、寄附による運営資金の調達が容易になります。

    なお、認定NPO法人となるための要件は以下の通りです。

    1. 1.パブリック・サポート・テスト(PST)に適合すること(仮認定は除きます。)
    2. 2.事業活動において、共益的な活動の占める割合が、50%未満であること
    3. 3.運営組織及び経理が適切であること
    4. 4.事業活動の内容が適切であること
    5. 5.情報公開を適切に行っていること
    6. 6.事業報告書等を所轄庁に提出していること
    7. 7.法令違反、不正の行為、公益に反する事実がないこと
    8. 8.設立の日から1年を超える期間が経過していること

    まとめ

    一般社団法人及びNPO法人について、簡単にまとめました。非営利型の事業をメインに起業する場合には、選択肢として挙がってきます。また、一般社団法人については、必ずしも非営利を目的とするものではなく、営利事業のための法人として活用しているケースもあります。

    特にNPO法人については事業運営と経理処理の適切性が強く求められることから、管理業務の能力を有するスタッフの配置や適宜適切な専門家の利用が必要となります。

  • 個人事業主の法人化(法人成り)はここに注意!

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    方法によっては法務・税務リスクがあります

    事業をスタートするにあたって、個人事業主(フリーランス)として始める場合と、最初から会社形態で起業する場合があります。最初から会社であれば今回の記事で説明することは問題になりません。

    一方、個人事業主として始めたビジネスをもっと積極的に拡大したい、将来的に上場を目指したい、節税対策をしたいなどの理由から事業を法人化して行うケース、いわゆる法人成りに際しては、いくつかの留意点があります。

    今回はその中でも特に注意が必要な部分について解説します。

    個人事業の引継方法を選ぶ

    個人事業を新規に設立した法人に引き継ぐ場合、大きく4つの選択肢があります。

    • ✅現物出資
    • ✅売却
    • ✅贈与
    • ✅賃貸

    それぞれの方法にメリット・デメリットがあるので、各自の状況によって使い分けることを検討しましょう。

    ✅現物出資

    株式会社を設立するにあたっては、最初に発起人が資本金を払い込み、株式を引き受けます。これを出資と呼びます。出資については現金だけではなく、現金以外の財産をもって行うことができます。現金以外の財産を対価として株式を引き受けることを現物出資と呼びます。

    現物出資の対象となる財産は多岐にわたります。貸借対照表に計上可能なものと考えればよく、有価証券等の金融商品、土地建物等の不動産、ソフトウェアや知的財産権等の無形資産などが代表的なものです。反対に、信用や労務など、貸借対照表に計上できないものは対象とはなりません。

    現物出資を行うには、会社法上、一定の手続が求められています。財産価値のない現物が出資され、資本金を過大に見せると債権者を害することになるため、会社に一定の弁済能力を担保するために規制が置かれています。具体的には以下のとおりです。

    • ☑定款への記載…金銭以外の財産を出資する者の氏名又は名称、当該財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数を定款に記載する必要があります(法28条)。
    • ☑検査役の検査…原則として裁判所が選任した検査役の検査が必要です(法33条)。

    このうち、検査役の検査については、以下の条件を満たす場合は免除されます(法33条)。

    • ☑財産の価額が500万円以下の場合
    • ☑市場価格のある有価証券を市場価格以下で出資する場合
    • ☑弁護士・公認会計士・税理士から価額の相当性について証明を受けた場合

    さて、この現物出資を行う最大のメリットは、会社の設立に際して新たに多額の現金を用意する必要がないことです。これまでの個人事業で用いてきた資産を資本金に充当できるため、手許現金が少なくても一定規模の資本金を確保できます。

    反面、デメリットとしては上記の規制に対応しなければならない事務手続き上の煩雑性があります。特に出資財産が500万円を超える場合は、検査役の検査にしても弁護士・公認会計士・税理士の証明にしても、一定の期間と費用を要します。また、現物出資は会社法上は資本取引なのですが、税法上は資産の譲渡とみなされて個人に所得税がかかるケースがあります。この点、会社の設立自体には現金が不要であっても、この納税資金だけは確保しておく必要がありますので留意してください。

    参考 タックスアンサー No.3117 不動産を法人に現物出資したとき

    ✅売却

    売却は、通常の商取引であり、設立後の会社に対して個人事業主が事業用資産を売却することにより事業資産を引き継ぎます。この取引が会社法上、「事後設立」に該当する場合は、株主総会の特別決議が要求されているので、留意が必要です(法309条)。

    事後設立とは、会社の設立後2年以内に、その成立前から存在した財産を継続して使用する目的で、純資産の1/5を超える価額で取得する契約を締結することを言います(法467条)。これは上記で説明した現物出資の規制をすり抜けることを防止する目的の規制です。

    売却による場合のメリットは、現物出資に比較して相対的に規制が緩いことです。仮に事後設立に該当した場合であっても、株主総会決議で足りるため、検査役の検査や弁護士・公認会計士・税理士の証明に比較して相対的に期間・費用も抑えられます。

    デメリットとしては、設立時に売却金額に相当する現金を用意して会社に出資しておかなければいけない点が挙げられます。資金面に余裕がある場合にはもっともシンプルなこの方法がよいですが、資金不足の場合はなんらかの方法で資金調達が必要になります。なお、売却元の個人事業主に対しては当然、譲渡所得がかかってきますが、売却資金でキャッシュが入ってくるため、納税資金の問題は生じないと考えられます。

    ✅贈与

    贈与は、設立後の会社に対して無償で事業用の財産を与える行為です。会社法上は、特段の規制はありません。

    贈与のメリットとしては、手続に規制がなく煩雑性がない点、売却と異なり会社側に資金が不要な点が挙げられます。

    一方、贈与は贈与時の時価で財産が移転したとみなされるため、財産の帳簿価額と時価に大幅な乖離が生じている場合には多額の納税資金が必要となるケースがあります。贈与を用いて事業資産を引き継ぐ場合にはこの点をケアしておく必要があります。

    ✅賃貸

    賃貸は、事業用資産を個人事業主に帰属させたまま、法人に使用させる方法です。賃貸なので、厳密には事業資産を会社に引き継がせるわけではないですが、法人化したあとも事業を継続させることができる手段として、記載しました。

    賃貸であれば、賃貸にかかる賃借料のみを支払えばよいため、イニシャルにまとまった資金が不要です。適切な賃借料を支払っていれば大きな税務リスクもないため、納税資金についても悩みは少ない手段と言えます。

    一方で、会社の事業資産が会社に帰属していないという、事業基盤が不安定な状態と外部からはみなされるリスクが高いです。特に、上場を目指すようなケースでは、会社と取締役(元・個人事業主が会社設立後取締役として就任するケースが大半だと思われます)のあいだの取引となり、真っ先に解消が求められると考えられます。したがって、当初から株式公開を目指すようなスタート・アップ企業にとっては、とりえない選択肢と言えます。一方、上場なんて無関係なスモール・ビジネスの法人化であれば、検討に値する選択肢でしょう。

    まとめ

    個人事業主が法人成りするときの留意点、特に、事業引き継ぎの留意点をまとめました。それぞれのメリット・デメリットを十分に考慮して、方法を選択してください。

    なお、個人的には資金が十分にある場合は売却を、資金面に不安がある場合は現物出資がよいのではないかと考えます(あくまで一般論であり、ケース・バイ・ケースではありますが)。

  • 創業時の資金調達方法その③ 株式発行

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    資本政策に留意

    創業時の資金調達方法その① 公的融資創業時の資金調達方法その② 補助金・助成金に続き、資金調達シリーズの3回目は、株式発行による資金調達について解説します。

    株式会社?合同会社?起業に際して会社形態を選ぶポイントで書いた通り、株式による資金調達を行うことができるのは、文字通り、株式会社だけです。言い方を変えると、株式発行という方法により資金調達できることが株式会社の最大のメリットです。

    株式発行による調達の特徴

    株式発行による調達は会社法上では「募集株式の発行等(法191条~)」という概念で整理されています。これは、新たに株式を発行する場合(新株発行)だけではなく、保有している自己株式を割り当てること(自己株式の処分)も含んだ概念です。この「募集株式の発行等」は、株式を割り当てる=投資してもらう相手により、三種類に分類できます。

    1. 公募…不特定多数の者に割り当てるケース
    2. 第三者割当…特定の第三者に割り当てるケース
    3. 株主割当…すべての既存株主に平等に割り当てるケース

    創業時の資金調達では、基本的に特定のVC(ベンチャー・キャピタル)や事業会社、個人投資家(エンジェル投資家)に資金を入れてもらうことになるため、第三者割当によることが通常です。

    いずれのパターンでも共通することではあるのですが、株式を割り当てるということは、会社の株主になってもらう、すなわち、会社の所有者が増えることを意味しています。株式発行は、返済不要な資金を多額に調達しやすい、という側面が強調されがちですが、会社の最大の利害関係者である株主が増えるのだという点は、非常に重要です。

    募集株式の発行は原則として株主総会の決議が必要ですが、取締役(取締役会設置会社では取締役会)に委任することができます(法200条1項)。創業したてのスタート・アップでは創業株主=取締役であることが通常のため、創業メンバーにより決定できる点においては変わりないと考えて差支えないでしょう。なお、公開会社ではいわゆる授権資本制度により取締役会において募集事項を決定できますが、創業時には無関係なので詳細は別の機会に譲ります。

    株式発行による資金調達に際して留意すべき点

    細かいことを言い出したらキリがないですが、留意点は、株主構成及び議決権割合です。大事なことなので二回言います。株主構成及び議決権割合には、どれだけ留意しても留意しすぎるということはありません。

    特に、将来的にIPO(株式公開)やM&AによるEXIT(出口戦略)を考えているスタート・アップ企業にとって、EXITまでの株主構成及び議決権割合をどのようにマネジメントしていくかは、ビジネスをスケールさせていくことに匹敵するほど重要です。これを資本政策と言います。せっかくよいチームでビジネスを立ち上げ、順調にビジネスが伸びているにもかかわらず、資本政策を失敗してうまくEXITできない、というケースは実際にあることです。

    VC(ベンチャー・キャピタル)をはじめとする投資家サイド、証券会社、公認会計士や弁護士等の専門家の間では、この資本政策の重要性はよく理解されるようになってきていると感じますが、プレイヤーである経営サイドでは、まだまだ実感を伴って理解されていないのが現状ではないでしょうか。

    長くなってしまうので、典型的な資本政策の失敗例をふたつだけ、簡単に紹介します。

    一つ目は、無計画に少額の増額をくりかえした結果、マイノリティ株主の数が増えすぎる、ということです。事業計画をきちんと策定せず、必要なキャッシュ・ポジションを把握しないまま、場当たり的に増資を行うと、このような事態に陥りがちです。創業から数年の段階で、創業メンバー以外に株主が10人も20人もいる、という状況はEXITを考えると好ましくありません。一般的に、IPO(株式公開)に際しては株主構成をかなり慎重にチェックされ、合理性の乏しい株主関係を整理することが求められるケースは多々あります。株主の数が増えれば増えるほど、この整理がやっかいになります。また、M&AによるEXITを考える場合でも、基本的に買い手は100%取得を求めるため、株主の合意をとる時間をふくめ、手続に手間がかかります。

    二つ目は、ビジネスの初期段階に株価が高くつきすぎるケースです。非上場会社はマーケットがなく株価に時価というものが存在しないので、DCF法(ディスカウント・キャッシュ・フロー法=将来の価値を割り引いて企業価値を求める方法)や類似企業比較法(上場している類似企業の株価を参考に当該企業の株価を算定する方法)等を用いて株価を算定します。株価が高くつくということは、それだけ企業の将来性を高く評価されているということであり、また、少ない議決権を渡すだけで多額の資金調達ができるため、メリットのことのように考えがちです。問題は、事業が一時的にうまくいかなくなったときです。資金ショートのリスクが出てきて追加で増資を行いたい場合に、初期段階での高い株価がネックになるケースがあります。いちどついた株価は、次回以降の投資に際してベンチ・マークとして見られるので、芳しくない事業状況に比較して高くついた株価が嫌われ、資金が集まりづらくなってしまうのです。高い株価がついてしまったがゆえに、継続的な資金調達が困難になり、事業の谷間を乗り切れなくなる原因になりうるということです。

    まとめ

    株式発行による資金調達について、簡単に解説しました。

    しつこくて恐縮ですが、資本政策の重要性についてしっかり理解したうえで、誰に、どれくらい投資をしてもらうか考える必要があります。特に近年は以前と比べれば驚くほど(といっても米国に比べれば全然ですが)シード期の若いスタート・アップ企業に資金が流れやすい環境が整ってきています。シード期の資金は経営者にとって喉から手が出るほどほしいものですが、簡単に飛びついてのちのち後悔しないよう、IPOやM&A、ファイナンス分野に造詣の深い実務家や専門家に相談しながら意思決定するのが賢明な経営判断と言えるでしょう。

  • 創業時の資金調達方法その② 補助金・助成金

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    情報をこまめにチェックしましょう

    創業時の資金調達方法その① 公的融資では、創業時の資金調達方法として、借入、特に創業時に有利な条件で借り入れることができる公的融資の制度について解説しました。

    今回の記事では、創業時に受けられる「創業・第二創業促進補助金」について要点をまとめます。

    創業・第二創業促進補助金

    創業・第二創業促進補助金は、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する補助金です。注意点としては、産業競争力強化法に基づく認定市区町村での創業のみを対象としており、全国すべての地域での創業に対応しているわけではないという点です。詳細は各自治体にお問い合わせください。また、通年募集を行っているわけではなく、申請期間が決まっていますので、早めの情報チェックが必要です(※平成27年度は終了しております。なお、平成27年度は1,170件の応募があり採択は775件、採択率67.3%でした)。

    この補助金の目的は以下の通りです。

    「創業・第二創業促進事業」は、新たに創業する者や第二創業を行う者に対して、その創業等に要する経費の一部を助成(以下「補助」という。)する事業で新たな需要や雇用の創出等を促し、我が国経済を活性化させることを目的とします。

    この補助金の補助率(実費に対する補助割合)は2/3であり、金額は100万円以上200万円以内となっています。

    この補助金を申請するにあたっては、認定支援機関のサポートを受けて事業計画を策定する必要があるので留意が必要です。すなわち、事業者のみで完結できず、必ず認定機関との連携が求められているのです。作成する事業計画はわりと細かく、平成27年度の様式では以下の項目が求められています。

    1. ①事業の具体的な内容
    2. ②本事業の動機・きっかけ及び将来の展望
    3. ③本事業の知識、経験、人脈、熱意
    4. ④本事業全体に係る資金計画
    5. ⑤事業スケジュール
    6. ⑥売上・利益等の計画

    無事に採択されてもそれで終わりではなく、補助金受領後の事業状況をモニタリングし、報告する必要があります。書類の数も多いので、それなりの作業時間を取られることは覚悟しないといけません。

    メリットとデメリット

    メリットはなんといっても、返済が不要だということです。最大7,200万円まで借り入れることができる創業融資に比較すると金額は小さいですが、返済しなくてもよいという心理的負担感のなさは、資金繰りの目途が立ちにくい創業時には大きなメリットとなります。

    一方、デメリットはその煩雑さにあります。申請に認定機関からのサポートが不可欠な点、申請時のみならず、受託後も継続的な報告が必要な点など、かなりの手間がかかります。規模の急拡大を狙わないスモール・ビジネスにとっては、手間を厭わずに創業時の資金メリットを享受するほうがよいかもしれませんが、創業時からスピード勝負をかけるようなスタート・アップ企業にとっては、この手間のデメリットのほうが大きいかもしれません。

    まとめ

    創業・第二創業促進補助金について簡単にまとめました。創業時に資金はあるに越したことはありません。また、「返さなくていい」という魅力が大きいことは事実です。一方で、本業以外の部分に労力が割かれるデメリットについても、よくよく考えてから申請する必要があることに留意しましょう。経営者にとっては文字通り、「Time is Money」です。

  • 創業時の資金調達方法その① 公的融資

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    もっとも使いやすい調達方法

    創業時にもっとも頭を悩ませるのは事業に必要な資金をどこから確保するかという点だと思います。インターネットを活用したウェブビジネスなど、大きな資金がなくても始められるビジネスも増えてきてはいますが、やはり事業を一定の規模に拡大させようと考えた時には、元手となる資金が必要となります。

    資金調達は大きく自己資本によるもの、他人資本によるものに分けられます。そのほか、自治体からの補助金も含めると3種類の調達方法があることになります。資金調達、という言葉から株式発行をイメージする方も多いと思いますが、実際にいきなり株式による調達を行うケースは限られています。

    ごく一部の、最初から規模の急拡大を狙ったスタート・アップ企業を除き、実際の創業時においては他人資本による調達、すなわち借入による資金調達が一般的です。その中でも特に、創業時に有利な条件で利用できる「公的融資」について説明します。

    公的融資による資金調達

    すでに軌道に乗っている事業で借入を行う場合は銀行や信用金庫といった金融機関から行うのが通常ですが、創業時には一般的な借入は難しいのが現実です。ビジネスの実績がなく、その会社の信用力が形成されていないので、資金の貸付サイドとしてもどの程度のリスクをとることができるのか、見積もることが難しいためです。昔は、場数を踏んだバンカーの「眼力」のようなもので思い切った貸付が行われるケースもあったと聞きますが、最近では金融機関のリスク算定もシステマティックに行われ、形式的な要件を満たさないと一律的に弾かれてしまうことがほとんどのようです。

    そのため、創業時には「公的融資」という制度に頼ることが賢明です。「公的融資」といってもいくつか制度があるため、その代表的なものを紹介していきます。

    日本政策金融公庫

    日本政策金融公庫は新規開業資金という名称の融資を行っています。融資限度額は7,200万円と大きく、借入期間も最大15年となっているため、比較的規模の大きな設備投資が必要な事業を開始するのに向いている制度です。ただし、利用するには以下のような一定の条件が必要です。

    次のいずれかに該当される方
    1.現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方で、次のいずれかに該当する方
    (1)現在お勤めの企業に継続して6年以上お勤めの方
    (2)現在お勤めの企業と同じ業種に通算して6年以上お勤めの方
    2.大学等で修得した技能等と密接に関連した職種に継続して2年以上お勤めの方で、その職種と密接に関連した業種の事業を始める方
    3.技術やサービス等に工夫を加え多様なニーズに対応する事業を始める方
    4.雇用の創出を伴う事業を始める方
    5.産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援事業を受けて事業を始める方
    6.地域創業促進支援事業による支援を受けて事業を始める方
    7.公庫が参加する地域の創業支援ネットワークから支援を受けて事業を始める方
    8.民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方
    9.1~8のいずれかを満たして事業を始めた方で事業開始後おおむね7年以内の方

    利率について詳細はこちらに記載がありますが、一般的な借入よりも有利な条件となっています。

    商工中金

    商工中金は「中小企業等協同組合その他主として中小規模の事業者を構成員とする団体及びその構成員に対する金融の円滑化を図るために必要な業務を営むことを目的とする。」とされており、主に中小企業向けのサポートを行っている公的金融機関です。商工中金は再チャレンジ支援貸付という名称の融資を行っています。この名称からは創業のイメージがわきにくいかもしれませんが、新規創業も対象となっており、利用条件は以下のようになっています。

    過去に事業に失敗した経歴のある経営者の方で、再度、事業経営にチャレンジするため新たに開業する事業者、または開業後おおむね5年以内の事業者の皆さま

    このように、事業失敗からの再チャレンジのみならず、新規開業の事業者も含まれています。

    制度融資

    制度融資とは、自治体による融資の制度です。制度の内容は自治体によって区々なので詳細は各自治体にお問い合わせください。ここでは例として東京都の制度融資を取り上げます。

    東京都の創業時における制度融資はこちら(PDF注意)で確認することが可能です。

    要件も簡単に抜粋しておくと、以下のとおりです。

    事業を営んでいない個人であって、1 か月以内に新たに個人で又は 2 か月以内に新たに会社を設立して都内で創業しようとする具体的計画を有し、原則として事業に必要な許認可等を受けている方

    融資限度額は2,500万円ですが、自己資金に1,000万円を加えた金額が上限となっていることに留意が必要です。

    まとめ

    創業時に利用できる公的融資について、代表例をまとめました。

    公的融資は、いくら利率が低く負担が軽いといっても、最終的に元本の返済が必要です。この点、返済が不要な株式や補助金とは異なります。利用のハードルが低いからといって安易に利用して返済不能に陥る・・・なんてことのないよう、事業計画は入念に立てておくことが必要です。

  • 屋号付口座の開設方法とそのメリット

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    生活口座と区分したほうが何かと便利です

    法人であれば法人名義の口座を作れますが、個人事業主(フリーランス)の場合は「屋号付口座」というものが該当します。

    これは、口座名が「屋号(事業名)+個人名」となる口座です。かつては個人事業主であっても屋号のみの口座が作れたようですが、現在ではメガバンクでは屋号のうしろに本名も記載する必要があります。

    この屋号付口座の開設方法ですが、銀行によって異同はあるものの、大まかな流れは同じです。具体的に見ていきましょう。

    口座の開設方法

    通常の個人口座が郵送やインターネットで申し込みができるのと異なり、必ず最寄りの銀行窓口で手続する必要があります。銀行の窓口って閉まるの早いですよね。うまく時間を工面して、窓口まで行きましょう。1時間程度は見ておいたほうがよいです。

    それからもうひとつ、個人事業主として実在していることを証明する書類が必要です。必要な書類は銀行ごとに異なります。各銀行ごとに必要書類は以下のとおりです。

    三菱東京UFJ銀行

    参考 口座開設時の本人確認書類

    • 国税または地方税の領収書または納税証明書(原本)
    • 社会保険料の領収書(原本)
    • 商業登記簿謄本(原本)
    • 事務所の賃貸契約書(コピー可)
    • 公共料金の領収書(原本)
    • 税務署収受印付の確定申告書(原本)
    • など

    開業したてで、上記の書類があるケースはほとんどないと思います。

    だからといって焦る必要はありません。などに注目です。ここに列挙されたものでなくても、事業の実在性を示すことができれば問題ないです。

    具体的には以下のようなものが使えます。

    • 開業届の控え
    • 屋号宛の郵便物
    • 屋号付の名刺
    • 屋号付のウェブサイト

    これらの書類のうちどこまでが使えるかは明確に決まっているわけではなく、なんとなく各支店の運用ルールに任されている感じです。

    堂々と、”キチンと感”を出していくことがポイントかと思います。

    その場で手続が進み、通帳をもらえます。キャッシュ・カードは後日郵送です。

    みずほ銀行

    参考 個人事業主としての口座を開設したい

    みずほ銀行の場合、必要な書類はウェブ上では明示されていませんが、開業届の控えと名刺で大丈夫です。

    UFJと異なるのは、初回の来店時には審査のみで、開設は後日(おおむね一週間後)になる点です。

    審査時のヒアリングは事業内容や口座開設の目的など、わりとしっかり聞かれるので、アタフタしないようにちゃんと準備していきましょう。

    なお注意として、みずほ銀行は営業性個人口座という個人口座と同様の扱いになります。つまり、すでにみずほ銀行に個人口座を持っている場合は、原則的に屋号付で開設できませんので、注意してください。

    三井住友銀行

    当銀行は、特に屋号付口座開設のための情報を公開していません。

    必要書類としては、開業届の控えと名刺で大丈夫です。

    口座の扱いは、みずほ銀行と同じく営業性個人口座のため、すでに個人口座を持っている場合に二重で開けない点は、みずほ銀行と同様です。

    手続はUFJ同様、その場で通帳が発行され、後日キャッシュ・カードが郵送されます。

    りそな銀行

    参考 りそなビジネスダイレクト

    りそな銀行の場合は、りそなビジネスダイレクトの口座の扱いになります。口座の利用にあたっては月額手数料がかかります。

    必要な書類はこちらも明示されていませんが、開業届の控えと名刺で大丈夫です。

    りそなはメガバンクの中ではもっとも開設手続きがスムーズな傾向があるようで、30分かからずに通帳発行になるようです。

    屋号付口座のメリット

    さて、簡単に開設方法を見てきましたが、屋号付口座を持つことのメリットについても説明します。

    ひとつめのメリットは、確定申告の手間が少なくなる点です。私用の口座と併用している場合、生活費と必要経費の混同が起こりがちです。事業にかかわる入出金はすべて屋号付口座で管理することで、申告時の混乱が防止できます。

    特に最近のクラウド会計ソフトは銀行口座と連動して自動で仕訳を起票してくれるので、屋号付口座と連動させておくと大変に便利です。複雑な取引がない事業では、ほとんど経理の手間がかかりません。

    ふたつめのメリットは、社会通念上、信用力が増すということです。特に大きな会社は、個人相手に取引をするのを嫌がる傾向にあります。そこで少なくとも屋号付の口座があることで一定程度の信頼は担保される(銀行の審査を通っているので、反社会的勢力に関わりがないことも間接的に証明できる)わけです。

    そういう意味で、スタートしたての事業主ほど、早めに屋号付口座を作ってしまったほうがよいと考えます。

    まとめ

    屋号付口座についてまとめました。

    いちばん手続に厳しいのが三菱東京UFJ銀行です。ここをクリアできれば、あとは二重口座の問題にさえ引っかからなければどこでも作れると考えてよいでしょう。

    何度も出直すのはもったいないので、事前に書類と心の準備をしてから、銀行に出かけましょう。

  • 記帳代行「しないこと」のススメ

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    自分で経理するメリットのほうが大きいです

    簿記会計の知識がない、人手不足など、事業を立ち上げたばかりのころは、経理処理に手が回らず、税理士などにお願いするいわゆる「記帳代行」を選択する経営者の方もいるかと思います。

    しかし安易に記帳代行を頼む前に、少し考えてみてください。実はメリットよりデメリットのほうが大きいんじゃないでしょうか?

    記帳代行のメリット

    デメリットを語る前に、ちゃんとメリットのほうも見ておきましょう。

    最大のメリットはもちろん、煩雑な(と思われている)経理処理から解放されて本業に集中できることです。経理処理を行うには最低限の簿記知識は(ないよりは)あったほうがいいのでいくらか学習コストがかかりますし、領収書や請求書などを保存する手間ももかかります。

    記帳代行の委託価格もこの頃はずいぶん下がり、探せば月額千円程度で受ける格安業者もあります。月千円で経理業務から解放されるのであればそっちのほうがずっといい、と感じる方も多いかもしれません。

    また、このような格安業者ではなく、公認会計士や税理士といった専門家も記帳代行を受けています。専門家の場合は、さすがに上で書いたような格安という料金はなかなかないでしょうが、それでも一時期に比べれば値ごろ感のある報酬で受けるところが増えています。専門家に頼むメリットは何といってもミスが少なく(ないとは断言できませんが)きちんとした経理処理を行ってくれることでしょうか。

    こんなふうに書くとメリットしかないように見えてくるかもしれませんが、冒頭に書いたように、デメリットも大きいのです。

    記帳代行のデメリット

    経理の手間を省くメリットを得ることで失うデメリットは、二つあります。

    最大のデメリットは、適時適切に自社(個人事業主の場合は自分)の経営状況を把握できないことです。

    特にスタートアップしたばかりの企業・事業主にとって経営環境はめまぐるしく変わっていきます。毎日がトライ&エラーといってもいい状況で、自分のビジネスを「数字の面から」タイムリーに把握できないのは、重要な意思決定を誤ることにつながります。

    また、経理処理を丸投げすることで、自分のアクションが、最終的にどんな数字になって跳ね返ってくるのかが、感覚としてつかめなくなります。経営者として、些末でテクニカルな会計・税務の知識は不要ですが、ざっくりとした会計処理や税務インパクトの勘所を押さえておくことは非常に重要です。経理処理を内製化することで、数字を適時適切に把握できるようになります。

    ふたつめのデメリットは専門家の本来の力を奪ってしまうことです。

    記帳代行は、公認会計士や税理士の本来の仕事ではありません。公認会計士のコアスキルは会計及び監査、その周辺領域のコンサルティングであり、税理士のコアスキルは税務及びその周辺領域のコンサルティングです。

    それは公認会計士法、税理士法という各専門家について規定した法律にもそのように書いてあります。

    公認会計士法にはこんなふうに書いてあります。

    第二条  公認会計士は、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の監査又は証明をすることを業とする。
    2  公認会計士は、前項に規定する業務のほか、公認会計士の名称を用いて、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の調製をし、財務に関する調査若しくは立案をし、又は財務に関する相談に応ずることを業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。

    税理士法はこうです。

    第二条  税理士は、他人の求めに応じ、租税(印紙税、登録免許税、関税、法定外普通税(地方税法 (昭和二十五年法律第二百二十六号)第十条の三第二項 に規定する道府県法定外普通税及び市町村法定外普通税をいう。)、法定外目的税(同項 に規定する法定外目的税をいう。)その他の政令で定めるものを除く。第四十九条の二第二項第十号を除き、以下同じ。)に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。
    一  税務代理(税務官公署(税関官署を除くものとし、国税不服審判所を含むものとする。以下同じ。)に対する租税に関する法令若しくは行政不服審査法 (昭和三十七年法律第百六十号)の規定に基づく申告、申請、請求若しくは不服申立て(これらに準ずるものとして政令で定める行為を含むものとし、酒税法 (昭和二十八年法律第六号)第二章 の規定に係る申告、申請及び不服申立てを除くものとする。以下「申告等」という。)につき、又は当該申告等若しくは税務官公署の調査若しくは処分に関し税務官公署に対してする主張若しくは陳述につき、代理し、又は代行すること(次号の税務書類の作成にとどまるものを除く。)をいう。)
    二  税務書類の作成(税務官公署に対する申告等に係る申告書、申請書、請求書、不服申立書その他租税に関する法令の規定に基づき、作成し、かつ、税務官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第三十四条第一項において同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下同じ。)で財務省令で定めるもの(以下「申告書等」という。)を作成することをいう。)
    三  税務相談(税務官公署に対する申告等、第一号に規定する主張若しくは陳述又は申告書等の作成に関し、租税の課税標準等(国税通則法 (昭和三十七年法律第六十六号)第二条第六号 イからヘまでに掲げる事項及び地方税に係るこれらに相当するものをいう。以下同じ。)の計算に関する事項について相談に応ずることをいう。)
    2  税理士は、前項に規定する業務(以下「税理士業務」という。)のほか、税理士の名称を用いて、他人の求めに応じ、税理士業務に付随して、財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務を業として行うことができる。ただし、他の法律においてその事務を業として行うことが制限されている事項については、この限りでない。

    若干わかりづらいかもしれませんが、要するに、記帳代行のような業務はあくまで本来の業務の付随的な業務である、とうことですね。

    せっかく専門家にお金を払って依頼するなら、誰にでもできる記帳代行ではなく専門家にしか許されない本当の意味での専門サービスを依頼したほうが、経営者にとってもメリットが大きいはずです。記帳代行を受けないことにより、専門家は専門サービスに集中することができるため、サービスの質も絶対に上がります。

    経理処理は最初はとっつきにくいかもしれませんが、今は優秀なクラウド会計ソフトも増えています。その手の会計ソフトは、例えば銀行口座やクレジット・カードと連携することで仕訳処理を自動化したり、学習機能が搭載されていてどんどん処理をルーチン化したりすることもできます。経理にかかる手間はどんどん減っています。最低限の会計知識があれば、問題なく経理処理を内製化できる環境が整ってきているのです。

    まとめ

    記帳代行を委託することのデメリットについて書きました。

    まだピンと来ない方、やっぱり面倒だなと思う方もまだまだいるかもしれませんが、案ずるより産むが易しとはよくいったもので、経理処理は格段に簡単になっています。ぜひ自身の手で経理処理をやってみてください。

    そして複雑な問題、高度な知識が必要な問題について専門家に相談するスタンスに変えてみてください。そうすると経営者も専門家も双方がずっとハッピーな関係になれるはずです。

  • 株式会社?合同会社?起業に際して会社形態を選ぶポイント

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    ゴールから決める

    最初から会社形態で起業する場合、悩むのが会社形態(会社の種類)だと思います。

    特に深く考えずに株式会社! というパターンも多いかとは思いますが、本当に自分のビジネスに合致しているでしょうか。実際の設立手続に入る前に、いちど落ち着いて考えてみましょう

    結論を先取りしてしまえば、ビジネスのゴールから逆算して決めるのがポイントとなります。

    会社法で認められている会社形態

    株式会社はもっとも広く知れ渡っていますが、会社法では、4つの会社形態が認められています。大きく株式会社と持分会社にわかれ、持分会社は合同会社、合名会社、合資会社に分類されるので、合わせて4種類となります。

    ただ起業実務の場面で用いられるのはほとんどが株式会社と合同会社なので、今回はこの2つに絞って解説します。

    株式会社

    会社といえば株式会社、というくらい知れ渡っている会社形態です。2006年の会社法改正前には有限会社という形態があり、いわゆる中小零細企業の多くが採用していて身近な存在でしたが、法改正により株式会社に移行したため、見かけることはなくなりました。

    その名が示す通り、株式会社を理解するうえでの最重要ポイントは株式です。

    株式とは、株式会社における社員(注:いわゆる従業員ではありません)の地位のことです。この株式を保有している人が株主です。会社は誰のモノか? といった議論がときどき生じますが、純粋に法律上の観点から言えば、(株式)会社は株主のモノ、ということになります。株主は株式を通じて議決権(株主総会で決議に票を投じる権利)を得たり、配当を受ける権利を得たりします。

    株式の最大の特徴は、その種類ごとに均一に細分化されている点にあります。均一というのは、同じ種類の株式であれば、その内容が同一であることを意味します。Aさんが持つ1株もBさんが持つ1株も内容は異なりません。細分化されているというのは、その投資単位が比較的小さいということを意味します。例えば1億円の資金を調達するとき、1株を1万円に細分化して1万株発行すれば1億円になります。1万円出資してくれる人を1万人集めてもよいし、100万円出資してくれるのであれば100人で済みます。株主は、その資力に応じて出資し、その出資に見合った権利を得るわけです。

    株主の地位は、有限責任であるため、リスクは出資額に限定されます。要するに、会社が莫大な負債を負って倒産したとしても、出資した金額以上の支払が生じることはありません。

    ふたつめの特徴として、所有と経営の分離が挙げられます。

    上述の通り、あくまで会社の所有者は、出資者である株主です。しかしながら、その会社を実際に経営するのは株主から委任された取締役です。株主は必ずしも経営についての能力があるわけではないので、経営のプロである取締役に実際のビジネスを任せるわけです。このようにしてお金を出す人(所有)と実際のビジネスをする人(経営)が分かれることを所有と経営の分離と言います。

    このふたつの特徴から、株式会社は規模の大きい会社に向いていると言えます。株式の投資単位を下げることで、多額の資金調達をしやすくし、一気にビジネスを拡大することが可能です。また、出資者とは別の優秀なプロ経営者を据えることもできます。

    合同会社

    日本版LLCと言われているのが合同会社です。アメリカのLLCを模範として作られた制度ですが、課税関係についてはアメリカ本国と異なっているので留意が必要です。すなわち、アメリカのLLCはパス・スルー課税(法人ではなく、社員への直接課税)が認められていますが、日本の合同会社では株式会社と同様に法人課税しか認められていません。

    株式会社が社員の地位を株式という均一な単位に切り分けているのに対して、合同会社の社員の地位(持分)は社員毎に区々です。株式会社の場合は、株式の保有割合に応じて議決権や配当が決まることは上述しましたが、合同会社では出資割合とは無関係に議決権割合、配当割合を決めることができます。このことにより、出資(お金)は出せないけれど、専門的な技術力で会社に貢献する、という人に対して多くの配当を与えるなど、インセンティブに柔軟性を持たせることができます。なお、出資者が有限責任である点は株式会社と同様です。

    また株式会社では所有と経営の分離を想定していますが、合同会社では出資者である社員がそのまま業務執行すなわち経営をハンドリングすることになります。株式会社で求められる取締役会、監査役会といった機関設計も不要で、柔軟な組織構築が可能です。

    この特徴から、合同会社は株式会社に比べて規模の小さな会社に向いていると言えます。個人事業主(フリーランス)の法人化はもちろん、市場からの多額の資金調達が不要な子会社やジョイント・ベンチャーなど幅広く活用できる会社形態です。

    会社選びのポイント

    これら特徴を踏まえて、株式会社と合同会社のどちらを選べばよいでしょうか?

    よく、費用面や事務手続きの煩雑さを比較してどっちがいい、というような解説をしているところもありますが、どちらかというと些末な理由だと考えます。より重要なのは、これから始めるビジネスのゴールをどこに置くか、という点です。

    最初からIPO(株式公開)を目指す企業であれば、株式会社の一択です。合同会社は上場することができません。最初から明確なプロダクトやサービスがあり、起業後のアーリー・ステージから多額の投資資金を得て一気にマーケットシェアをとり、数年で上場、こんな絵を描いているのであれば株式会社が適しています。

    またIPOではなくても、どこかほかの企業への売却(M&A)をエグジット戦略として見据えている場合も株式会社がよいでしょう。買収価格の算定にあたって、やはり株式という投資単位があったほうが、算定もしやすく、売却交渉がスムースに進みます。

    一方、それ以外の会社は、スタート段階では合同会社を選ぶのがスマートな選択ではないでしょうか。組織としての柔軟性、運営の簡便性に利がありますし、IPOやM&Aというビジョンさえ意識しなければ株式会社に比べて実務の面で不便な点はありません。一時期は、株式会社に比べた知名度の低さから取引先に嫌われる、なんてことが言われたこともありますが、06年の会社法改正から約10年がたち、合同会社(LLC)という存在も十分に認知されてきていると感じます。

    なおスモール・ビジネスとして始めるつもりで合同会社を選んだが、途中から規模拡大を目指して株式会社にしたい、という場合でも合同会社化から株式会社へは簡単に移行できます。

    まとめ

    株式会社と合同会社を選択する際のポイントをまとめました。

    くりかえしになりますが、ビジネスのゴール次第で選び方は変わる、という点が重要です。なんとなく株式会社、と考える前に、合同会社を選ぶメリットを十分に検討する余地はあるかと思います。

    今回は抽象的な内容になったので、実際の設立時の手続や費用などについては別の記事で解説します。

  • とっても簡単、個人事業主の開業手続

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    開業から1か月以内に届け出ましょう

    今日から個人事業主(フリーランス)として仕事をするぞ!
    …という時に必要な手続をまとめました。

    手続そのものはたいして難しくありません。ただ、期限があるので、開業でバタバタして忘れてしまった、ということがないように、早めに済ませてしまいましょう。

    税務署へ開業届を提出

    一般に開業届と呼ばれている書類、正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」という書類を所轄の税務署に提出します。

    「開業等の事実があった日から一ヶ月以内」に提出と期限が定められているので注意しましょう。この「開業等の事実があった日」に明確な定義があるわけではありませんが、一般的には店舗を開店したり、広告用のウェブサイトをオープンしたりと、外観上の開業が認められる日とすれば問題ありません。

    開業届は税務署で入手できますが、国税局ウェブサイト(PDF注意)からもダウンロードできます。

    提出の方法は、所轄税務署へ直接持参するか、郵送します。直接持参の場合、受付時間は平日の8:30~17:00までです。間に合わない場合でも、時間外の投函ポストがありますので、そこに入れておけば問題ありません。もっとも直接持参のメリットは窓口の担当者の方にチェックしてもらったり相談したりする点にあると思いますので、投函ポストに入れるくらいなら郵送のほうが手間がなくてよいと思います。

    さて、この開業届、所得税法第229条に基づいた手続なのですが、特に出さなかった場合の罰則規定があるわけではありません。罰則がないのであれば提出不要なのでは…と考える方もいるかもしれませんが、青色申告を行う場合には必須です。青色申告による税務メリットがほしい方は、必ず提出するようにしましょう。

    青色申告承認申請を提出

    晴れて個人事業主になった場合、自身で納税の手続、すなわち確定申告を行うわなければいけません。

    申告には白色申告と青色申告の二種類があり、青色申告を行うには申請手続が必要になります。青色申告の詳細については青色申告のメリットと必要な経理処理に譲りますが、一言でいえば、「きっちり申告書を作成することで、税金の控除金額が増える=節税できる制度」だと考えればよいです。

    主なメリットとしては、以下の4点が挙げられます。

    • ①青色申告特別控除…最大65万円の所得控除が受けられます。
    • ②青色事業専従者給与…配偶者や親族に支払った給与を、届け出ている範囲内で必要経費に算入できます。
    • ③貸倒引当金…売掛金、貸付金の帳簿残高の5.5%までを貸倒引当金に繰り入れた場合、必要経費に算入できます。
    • ④損失の繰越…純損失を3年間繰り延べ、所得から控除することができます。

    手続は「所得税の青色申告承認申請書」という書類を提出します。

    この申請書は、開業届同様に税務署で入手するか、国税局ウェブサイト(PDF注意) からダウンロードします。提出方法、時間帯も同様なので、上記を参照してください。

    提出期限は、青色申告書による申告をしようとする年の3月15日までですが、1月16日以降に開業の場合は、当該開業日までになりますので、注意してください。

    まとめ

    個人事業主として開業に必要な手続きは、たったこれだけです。所要時間は30分くらいでしょうか。

    なお、これらの書類は、控えの提出が求められる場面があるため、必ず取っておくようにしましょう。ここで言う「控え」とは原本の「コピー(複写)」のことではありません。同じ書類を二枚作成し、それぞれに税務署の受領印をもらって、一部を提出して一部を控えとして保管します。

    ここを忘れると、例えば後々事業用口座を開設するときに困ったりするので、気を付けましょう。

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